監査法人の会計

日本で唯一(?)「監査法人の会計」を取り上げたサイトです。公認会計士法などから、監査法人の会計に関連する規定を集めました。ブログタイトルをクリックすると目次となります。

2012年07月

業務及び財産の状況に関する説明書類

公認会計士法
(業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等)
第三十四条の十六の三 監査法人は、会計年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを記載した説明書類を作成し、当該監査法人の事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。

2 前項に規定する説明書類は、電磁的記録をもつて作成することができる。

3 第一項に規定する説明書類が電磁的記録をもつて作成されているときは、監査法人の事務所において当該説明書類の内容である情報を電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置として内閣府令で定めるものをとることができる。この場合においては、同項の説明書類を、同項の規定により備え置き、公衆の縦覧に供したものとみなす。

4 前三項に定めるもののほか、第一項に規定する説明書類を公衆の縦覧に供する期間その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

監査法人は、会計年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを記載した説明書類を作成し、当該監査法人の事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければなりません。詳しい記載事項等は、公認会計士法施行規則第三十九条において規定されています。

公認会計士法施行規則

 (説明書類に記載する業務及び財産の状況に関する事項)
第三十九条 法第三十四条の十六の三第一項に規定する内閣府令で定めるものは、次に掲げる事項(無限責任監査法人(法第一条の三第五項に規定する無限責任監査法人をいう。以下この条及び第六十条において同じ。)にあっては第五号ロからホに掲げる事項を除く。)とする。

一 業務の概況に関する次に掲げる事項
イ 監査法人の目的及び沿革
ロ 無限責任監査法人又は有限責任監査法人(法第一条の三第四項に規定する有限責任監査法人をいう。以下同じ。)のいずれであるかの別
ハ 業務の概要に関する次に掲げる事項
(1) ニ(1)及び(2)に記載されている業務の内容の概要
(2) 当該会計年度において新たに開始した業務その他の説明書類に記載すべき重要な事項がある場合には、当該事項
ニ 業務の内容に関する次に掲げる事項
(1) 監査証明業務の状況(被監査会社等の数(監査証明業務の根拠となる法令の区分ごとの当該会計年度末現在における被監査会社等の内訳及び大会社等の内訳)を含む。)
(2) 非監査証明業務(法第二条第二項に規定する業務をいう。以下同じ。)の状況(大会社等に対して行う業務の状況及び大会社等以外の者に対して行う業務の状況を含む。)
ホ 業務管理体制の整備及び業務の運営の状況に関する次に掲げる事項
(1) 業務の執行の適正を確保するための措置
(2) 業務の品質の管理の方針の策定及びその実施に関する措置(独立性の保持のための方針の策定、社員の報酬決定に関する事項並びに社員及び使用人その他の従事者の研修に関する事項を含む。(5)において同じ。)
(3) 公認会計士である社員以外の者が公認会計士である社員の監査証明業務の執行に不当な影響を及ぼすことを排除するための措置
(4) 直近において法第四十六条の九の二第一項の規定による協会の調査を受けた年月
(5) 業務の品質の管理の方針の策定及びその実施に関する措置について監査法人を代表して責任を有する社員一名による当該措置が適正であることの確認
ヘ 他の公認会計士(大会社等の財務書類について監査証明業務を行ったものに限る。)又は監査法人との業務上の提携に関する次に掲げる事項
(1) 提携を行う当該他の公認会計士の氏名又は監査法人の名称
(2) 提携を開始した年月
(3) 業務上の提携の内容
ト 外国監査事務所等(外国の法令に準拠し、外国において、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする者をいう。以下この号において同じ。)との業務上の提携に関する次に掲げる事項
(1) 提携を行う当該外国監査事務所等の商号又は名称
(2) 提携を開始した年月
(3) 業務上の提携の内容
(4) 共通の名称を用いるなどして二以上の国においてその業務を行う外国監査事務所等によって構成される組織に属する場合には、当該組織及び当該組織における取決めの概要

二 社員の概況に関する次に掲げる事項
イ 社員の数(公認会計士である社員及び特定社員の区分ごとの内訳を含む。)
ロ 監査法人の活動に係る重要な事項に関する意思決定を社員の一部をもって構成される合議体で行う場合には、当該合議体の構成(当該合議体を構成する社員の数(公認会計士である社員及び特定社員の区分ごとの内訳を含む。)を含む。)

三 事務所の概況に関する次に掲げる事項(事務所が二以上あるときは、各事務所ごとの次に掲げる事項を含む。)
イ 名称
ロ 所在地
ハ 当該事務所に勤務する社員の数(公認会計士である社員及び特定社員の区分ごとの内訳を含む。)及び公認会計士である使用人の数

四 監査法人の組織の概要

五 財産の概況に関する次に掲げる事項
イ 直近の二会計年度(直近会計年度の前会計年度の計算書類を作成していない場合は、直近の会計年度。ロにおいて同じ。)の売上高(役務収益を含む。)の総額(監査証明業務及び非監査証明業務の区分ごとの内訳を含む。)
ロ 直近の二会計年度の計算書類
ハ ロに掲げる書類に係る監査報告書(法第三十四条の三十二第一項の規定により監査報告書の添付を要する場合に限る。)
ニ 供託金等の額(令第二十五条に規定する供託金の額、供託所へ供託した供託金の額、保証委託契約の契約金額及び有限責任監査法人責任保険契約(法第三十四条の三十四第一項に規定する有限責任監査法人責任保険契約をいう。以下「責任保険契約」という。)のてん補限度額を含む。)
ホ 責任保険契約をもって供託に代える場合には、その旨及び当該責任保険契約の内容(保険の種類、保険金の額、当該責任保険契約を締結した日及び引受けを行う者の商号又は名称を含む。)

六 被監査会社等(大会社等に限る。)の名称
無限責任監査法人の場合、計算書類や監査報告書を含める必要はありません。
 
実際例

業務及び財産の状況に関する説明書類(新日本監査法人)

公衆縦覧について(あずさ監査法人)

ステークホルダーの皆様へ(監査法人トーマツ)
 

業務報告書の作成

公認会計士法施行規則
(業務報告書に記載すべき事項等)
第三十八条 法第三十四条の十六第二項に規定する業務報告書には、業務の概況のほか、社員、使用人等の概況、事務所の概況及び被監査会社等の内訳等を記載しなければならない。
 
2 前項の業務報告書は、別紙様式第二号により作成するものとする。

業務報告書に記載すべき事項は以下のとおりです。

  • 業務の概況
  • 社員、使用人等の概況
  • 事務所の概況
  • 被監査会社等の内訳
  • その他

これらはそれぞれ細かい項目に分かれています。詳細については、様式第2号とその記載上の注意をご覧ください。

様式第2号
(日本公認会計士協会のサイトより)

「業務の状況」には、 公認会計士法第三十四条の十六の三に規定されている説明書類に記載すべき事項も記載しなければなりませんが、当該説明書類を業務報告書に添付する場合には、記載不要です。

付属明細書の作成

(附属明細書)
第三十七条 附属明細書には、次に掲げる事項のほか、監査法人の貸借対照表、損益計算書、社員資本等変動計算書及び注記表の内容を補足する重要な事項を表示しなければならない。
一 有形固定資産及び無形固定資産の明細
二 引当金の明細
三 販売費及び一般管理費の明細

付属明細書に表示しなければならないのは以下の事項です。

  • 有形固定資産及び無形固定資産の明細
  • 引当金の明細
  • 販売費及び一般管理費の明細

これらのほか、 監査法人の貸借対照表、損益計算書、社員資本等変動計算書及び注記表の内容を補足する重要な事項を表示しなければなりません。

「販売費及び一般管理費の明細」については、「業務費用の明細」として開示している例も見受けられます。
 
実際例(新日本監査法人2011年6月期より)

 新日本業務費用

注記表の区分

(注記表)
第三十三条 注記表は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。
一 重要な会計方針に係る事項に関する注記
二 貸借対照表に関する注記
三 その他の注記

 注記表は、以下の3つに区分して表示します。

  • 重要な会計方針に係る事項に関する注記
  • 貸借対照表に関する注記
  • その他の注記
 
重要な会計方針に関する注記

(重要な会計方針に係る事項に関する注記)
第三十四条 重要な会計方針に係る事項に関する注記は、計算書類(法第三十四条の十六第二項に規定する計算書類をいう。以下同じ。)の作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他計算書類作成のための基本となる事項(次項において「会計方針」という。)であって、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)とする。
一 資産の評価基準及び評価方法
二 固定資産の減価償却の方法
三 引当金の計上基準
四 収益及び費用の計上基準
五 その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項

2 会計方針を変更した場合には、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)も重要な会計方針に関する注記とする。
一 会計処理の原則又は手続を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容
二 表示方法を変更したときは、その内容

計算書類の作成のために採用している会計処理の原則及び手続、並びに、表示方法、その他計算書類作成のための基本となる事項を、会計方針といいます。重要な会計方針に係る事項に関する注記は、会計方針であって、以下に列挙された事項です。ただし、重要性の乏しいものは除きます。

  • 資産の評価基準及び評価方法
  • 固定資産の減価償却の方法
  • 引当金の計上基準
  • 収益及び費用の計上基準
  • その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項

会計方針を変更した場合は、以下の事項も、重要な会計方針に関する注記として記載します。
  • 会計処理の原則又は手続を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容
  • 表示方法を変更したときは、その内容
貸借対照表に関する注記

(貸借対照表に関する注記)
第三十五条 貸借対照表に関する注記は、重要な係争事件に係る損害賠償債務その他これに準ずる債務(負債の部に計上したものを除く。)があるときは、当該債務の内容及び金額とする。

貸借対照表に関する注記として、重要な係争事件に係る損害賠償債務その他これに準ずる債務があるときの当該債務の内容及び金額を記載します。このような債務であっても、負債の部に計上したものについては、記載不要です。

 その他の注記

(その他の注記)
第三十六条 その他の注記は、前二条に定めるもののほか、貸借対照表、損益計算書及び社員資本等変動計算書により監査法人の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項とする。

公認会計士法施行規則34条の重要な会計方針に関する注記と、同35条の貸借対照表に関する注記のほか、貸借対照表、損益計算書及び社員資本等変動計算書により監査法人の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項があれば、その他の注記として記載します。

実際例(新日本監査法人2011年6月期)

新日本会計方針































新日本その他注記
 

社員資本等変動計算書の作成

公認会計士法施行規則
(社員資本等変動計算書)
第三十二条 社員資本等変動計算書については、この条に定めるところによる。

2 社員資本等変動計算書は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。
一 社員資本
二 評価・換算差額等

3 社員資本に係る項目は、次に掲げるものについて明らかにしなければならない。この場合において、第二号に掲げるものは、各変動事由ごとに当期変動額及び変動事由を明らかにしなければならない。
一 前期末残高
二 当期変動額
三 当期末残高

4 評価・換算差額等に係る項目は、前期末残高及び当期末残高並びにその差額について明らかにしなければならない。この場合において、主要な当期変動額について、その変動事由とともに明らかにすることを妨げない。
社員資本等変動計算書は、社員資本と評価・換算差額等に区分して表示します。

社員資本は、 資本金、出資金申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金という4つの区分から構成されますが、それぞれ、1.前期末残高、2.当期変動額、3.当期末残高を記載します。当期変動額は、各変動事由ごとに当期変動額及び変動事由を明らかにしなければなりません。

評価・換算差額等に係る項目は、社員資本に係る項目と異なり、それぞれ、前期末残高、当期末残高、両者の差額を明らかにします。ただし、主要な当期変動額について、その変動事由とともに明らかにすることを妨げないとされています。

実際例(新日本監査法人2011年6月期)

新日本社員資本 



 

損益計算書の作成に関して、公認会計士法や公認会計士法施行規則には規定がないようです。一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従って作成することになります。

実際例(新日本監査法人2011年6月期)
新日本PL

全般

公認会計士法施行規則

(貸借対照表)
第三十条  法第三十四条の十六第一項及び第二項の規定により作成すべき貸借対照表については、この条の定めるところによる。

2  貸借対照表に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする。

3  貸借対照表は、日本語をもって表示するものとする。ただし、その他の言語をもって表示することが不当でない場合は、この限りでない。

4  法第三十四条の十六第一項の規定により作成すべき貸借対照表は、成立の日における会計帳簿に基づき作成しなければならない。

5  法第三十四条の十六第二項の規定により作成すべき各会計年度に係る貸借対照表は、当該会計年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。

6  各会計年度に係る貸借対照表の作成に係る期間は、当該会計年度の前会計年度の末日の翌日(当該会計年度の前会計年度がない場合にあっては、成立の日)から当該会計年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年(会計年度の末日を変更する場合における変更後の最初の会計年度については、一年六月)を超えることができない。

貸借対照表の表示単位は、一円単位、千円単位又は百万円単位のいずれでも認められます。

貸借対照表は、該当する会計年度に係る会計帳簿(成立の日における貸借対照表は成立の日における会計帳簿)に基づき作成 します。

作成に係る期間は、前会計年度の末日の翌日から当該会計年度の末日までの期間(監査法人成立第1期目は成立の日から当該会計年度の末日までの期間)です。

区分表示
7  貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。
一  資産
二  負債
三  純資産

8  前項第一号及び第二号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。この場合において、当該各項目については、資産又は負債を示す適当な名称を付さなければならない。

貸借対照表は、資産、負債、純資産の3区分に区分表示します。それぞれ適切な項目に細分することができますが、その項目には適当な名称を付さなければなりません。
 
純資産の部の区分表示

9  純資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。
一  社員資本
二  評価・換算差額等

10  社員資本に係る項目は、次に掲げる項目に区分しなければならない。
一  資本金
二  出資金申込証拠金
三  資本剰余金
四  利益剰余金

11  次に掲げるものその他資産、負債又は社員資本以外のものであっても、純資産の部の項目として計上することが適当であると認められるものは、評価・換算差額等として純資産に計上することができる。
一  資産又は負債(デリバティブ取引により生じる正味の資産又は負債を含む。以下この号において同じ。)につき時価を付すものとする場合における当該資産又は負債の評価差額(利益又は損失に計上するもの並びに次号及び第三号に掲げる評価差額を除く。)
二  ヘッジ会計(会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)第二条第三項第二十六号に規定するヘッジ会計をいう。)を適用する場合におけるヘッジ手段(同号に規定するヘッジ手段をいう。)に係る損益又は評価差額
三  土地の再評価に関する法律(平成十年法律第三十四号)第七条第二項に規定する再評価差額

純資産の部は、大きく、社員資本と評価・換算差額等に区分されます。株式会社ではありませんので「株主資本」ではありません。

社員資本は、さらに、資本金、出資金申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金に区分されます。

評価・換算差額等として純資産に計上できるものが3つあげられています。詳しくは金融商品会計基準や土地再評価法を参照してください。

実際例(新日本監査法人2011年6月期)

 新日本BS





監査法人が作成・提出すべき計算書類

公認会計士法
(計算書類の作成等)
第三十四条の十六  監査法人は、内閣府令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
 
2  監査法人は、毎会計年度経過後二月以内に、計算書類(貸借対照表、損益計算書その他監査法人の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当な書類として内閣府令で定めるものをいう。次条及び第三十四条の三十二第一項において同じ。)及び業務の概況その他内閣府令で定める事項を記載した業務報告書を作成し、これらの書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。

3  前項の書類は、電磁的記録をもつて作成し、又は提出することができる。

4  監査法人は、第二項の書類を作成したときから十年間、これを保存しなければならない。
公認会計士法施行規則
(計算書類)
第三十一条  法第三十四条の十六第二項に規定する内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一  社員資本等変動計算書
二  注記表
三  附属明細書

 監査法人が作成・提出すべき計算書類として、以下のものが挙げられています。

  1. 貸借対照表
  2. 損益計算書
  3. その他監査法人の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当な書類として内閣府令で定めるもの(公認会計士法施行規則31条)
  • 社員資本等変動計算書
  • 注記表
  • 附属明細書

計算書類には含まれませんが、成立の日における貸借対照表も作成しなければなりません。

計算書類の提出期限は、毎会計年度経過後二月以内です。

計算書類のほか、業務報告書の作成・提出義務もあります。提出期限は計算書類と同じです。

計算書類等の提出

公認会計士法施行規則
(計算書類等の提出)
第四十二条 監査法人は、法第三十四条の十六第二項並びに第二十条、第二十一条、第四十条及び前条の規定により書類を提出しようとするとき(法第三十四条の十六第三項の規定により電磁的記録を提出しようとする場合を含む。)は、それぞれその写し(法第三十四条の十六第三項の規定により電磁的記録を提出する場合にあっては、当該電磁的記録を複写したもの。次項において同じ。)を添付し、当該監査法人の主たる事務所の所在地を管轄する財務局長(当該所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合には、福岡財務支局長)に提出しなければならない。

2 前項に規定する写しについては、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める通数を添付するものとする。
一 法第三十四条の十六第二項に規定する書類(同条第三項に規定する電磁的記録を含む。) 一通
二 第二十条、第四十条及び前条の届出書及びその添付書類 一通(当該監査法人が二以上の財務局又は福岡財務支局(以下この条において「財務局等」という。)の管轄区域に事務所を設けようとするとき、又は設けているときは、その財務局等の数に相当する通数)
三 第二十一条の届出書及びその添付書類 一通(定款変更が、主たる事務所を管轄する財務局等の管轄区域外の事務所の新設、移転又は廃止に係るものであるときは、当該事務所を管轄する財務局等の数を加えた通数)

計算書類等は、 当該監査法人の主たる事務所の所在地を管轄する財務局長(当該所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合には、福岡財務支局長)に提出します。計算書類や業務報告書の提出の場合、一通の写しを添付します。

全般

公認会計士法施行規則
第二十九条  法第三十四条の十五の三第一項の規定により監査法人が作成すべき会計帳簿については、この条の定めるところによる。

2  会計帳簿は、書面又は電磁的記録をもって作成及び保存をしなければならない。

公認会計士法 第三十四条の十五の三では、「監査法人は、内閣府令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」とされていますが、具体的には、公認会計士法施行規則29条によります。

資産に関する記帳

公認会計士法施行規則
第二十九条  3  監査法人の会計帳簿に計上すべき資産については、この府令に別段の定めがある場合を除き、その取得価額を付さなければならない。ただし、取得価額を付すことが適切でない資産については、会計年度の末日における時価又は適正な価格を付すことができる。

4  償却すべき資産については、会計年度の末日(会計年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この条において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。

5  次の各号に掲げる資産については、会計年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。

一  会計年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。) 会計年度の末日における時価
二  会計年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額

6  取立不能のおそれのある債権については、会計年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。
資産には、別段の定めがある場合を除き、取得価額を付します。別段の定めとしては、29条5項や8項が該当すると思われます。ただし、取得価額を付すことが適切でない資産については、会計年度の末日における時価又は適正な価格を付すことができるとされていますので、企業会計基準などに準拠して取得価額以外の価額を付すことはできると考えられます。

償却すべき資産については、相当の償却を行います。「償却すべき資産」の範囲や「相当の償却」の具体的な償却方法などについてはふれていません。

5項では、いわゆる強制評価減と、減損処理についてふれています。

会計年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産については、「会計年度の末日における時価」を付さなければなりません。ただし、時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものは除かれます。

予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産については、「相当の減額」をしなければなりません。

取立不能のおそれのある債権については、取り立てることができないと見込まれる額を控除して計上します。

負債に関する記帳

公認会計士法施行規則
第二十九条  7  監査法人の会計帳簿に計上すべき負債については、この府令に別段の定めがある場合を除き、債務額を付さなければならない。ただし、債務額を付すことが適切でない負債については、時価又は適正な価格を付すことができる。
負債については、別段の定めがある場合を除き、債務額を付します。しかし、ただし書きで、債務額を付すことが適切でない負債については「時価又は適正な価格」を付すことも容認されています。

のれんに関する記帳

公認会計士法施行規則
第二十九条  8  のれんは、有償で譲り受け、又は合併により取得した場合に限り、資産又は負債として計上することができる。
のれんは、有償で譲り受け、又は合併により取得した場合に限り、資産又は負債として計上できます。

公認会計士法
 
(会計の原則)
第三十四条の十五の二  監査法人の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。

(会計帳簿の作成及び保存)
第三十四条の十五の三  監査法人は、内閣府令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

2  監査法人は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその業務に関する重要な資料を保存しなければならない。

公認会計士法には、 「監査法人の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」との規定が置かれていますが、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」が具体的に何を指すのかまでは規定されていません。

監査法人は、 適時に、正確な会計帳簿を作成しなければなりません。会計帳簿に関する具体的な規定は、公認会計士法施行規則第29条に定められています。

 

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